抵抗の女(ひと)・イーディス・キャベル
少女時代から弱い者の立場に
高見 安規子
1
1東大看護学校
pp.92-95
発行日 1971年5月1日
Published Date 1971/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916032
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■農村の牧師の家に出生
イーディス・キャベル(Edith Cavell)は,1865年(慶応元年)12月4日,ノーフォーク州のスウォーズトンの村で生まれた。ロンドンから汽車で約3時間,一面につづく平坦な農業地帯を東北に走ると,ノリッジ市に着く。駅に降り立ってまず目につくのは,丘の上に残る古城と,大寺院の尖塔である。かのアングロ・サクソン時代に東アングリア王国だったところで,美しい大寺院をはじめとして,あちらこちらに中世風の教会や建物が残っている落ち着いた静かな町だ。大寺院には,イーディス・キャベルの墓があり,そばのトンブランドの通りには,彼女の胸像がある。
スウォーズトンは,このノリッジ市から南へ5マイルほど下ったところにあり,イーディスが生まれたころは,人口2〜300人の小さな村だった。イーディスの父フレデリック・キャベルは,代々聖職者を多くだした家柄の出で,ロンドンのキングズ・コレッジを卒業してからハイデルベルクで学び,牧師補となってロンドンの郊外の教会にしばらく勤め,その後スウォーズトンの村の牧師となった人である。
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