看声医語
生きる
宇治 正美
1
1長野県立阿南病院
pp.85
発行日 1971年5月1日
Published Date 1971/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916030
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ファーブル昆虫記といえば,誰知らぬ者もない名著書であるが,劇化された昆虫記(岩佐氏寿脚色)となると,知る人は少ない。
劇の中心人物であるコオロギの小父さんは,虫たちに向かって平和と仲好しを説いてまわる。だがしかし,虫の世界は,まさに弱肉強食の実践場である。ついさきほどは,黒アリの大部隊が赤アリ部落を目指して進軍して行ったし,今は,バッタの子どもが,カマキリにさらわれた。弟をさらわれたバッタの姉が,助けを求めて泣き叫べば,犯人のカマキリはいう。「自然のしたことだ。虫の力ではどうにもならない」
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