特集 医療と人権
患者の立場から
消えうせた患者の人権—患者は殺されてよいか
堂庭 一郎
pp.26-30
発行日 1971年1月1日
Published Date 1971/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661915875
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看護婦のみなさん!医者の命令で右に左に動きまわされ,走りまわらされ,夜の睡眠も寸断され,患者からは悩みや不満を訴えられ,ときには不親切だと突き上げを食うみなさん。医者・患者,両者の間の板ばさみの谷間を,コマネズミのように働きつづけている看護婦さん!しかも,この困難の中で,あなた方は患者を見まもり続けなければならない使命を課せられています。これはあなたの使命ですから,これを放棄することは看護婦としての精神的自殺を意味します。
この雑誌の編集者は,私に「医療の中における患者の人権」について何かを書けというのです。人権? 人間の権利!患者に与えられ,患者が当然に求めていい権利! それを書けというのです。そんなものがあったのでしょうか? それとも失われたのでしょうか。失われたとすれば,どうして,どんなふうに,失われたのでしょうか。
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