ドクター訪問
将来の見通しは自ら立てよ—日本医師会会長 武見 太郎 先生
pp.113
発行日 1969年4月1日
Published Date 1969/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914453
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●最近話題になっております,ナース不足ついてこ所見を──
「最近ていうけど,最近じゃない,看護婦の人手不足については20年も前から言ってることなんだぞ,キミ。その頃私は医師会の副会長をやっていて,厚生省によく言ったんだ。日本の現在の人口構造から考えて,10年後には若手の看護婦を得るのに相当の困難をきたすはずだ。20〜25年たったら完全に底をつく。だから,結婚したらすぐ止めてしまうというようなことでなく,看護婦を生涯の仕事どしてやってゆけるようなそういう方策を講じなさい。保育所その他の施設,あるいはポストグラデュエイトの教育然り,ということを言ってきた。その時の返事が,そういう心配はございませんということなんだからな。」
「だいたい,2〜3年ごとにクルクルとポストが変わっていて,長期的な見通しを持てない行政官という,この基本的な欠陥について私はまず指摘しておきたい。同時に,日本看護協会にも申しあげておきたいことがある。いやしくも専門職団体を名のるならば,こうした事態について自らその将来を測定し,自ら計画,立案してことに対処すべきである。その当然なすべきことを怠ってきたということだ。今日の看護婦不足という事態について,その責任の一端を自ら反省せよと私は言いたい。」
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