M.S.W.の目
被爆者のMさん
中島 さつき
pp.64
発行日 1969年4月1日
Published Date 1969/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914438
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戦後すでに24年たっているのに,原子爆弾の被害をうけている人たちが全国で31万余人もいる。45才のMさんは,東京都内の北部,爆煙によごれた貧しい地区に,4畳半と3畳の2間を借りて,妻(44才),長男(11才),次男(9才)の4人家族で住んでいる。
昭和20年8月6日,広島市に原子爆弾が落とされた時,通信兵であった彼は軍の用務をおびて広島部隊に報告連絡のため,上官と飛行機で着いたところであった。上官を見失ない1日中町を探し歩いて,翌日原隊へ帰っていった。それから,嘔心,食欲喪失,下痢,頭痛,脱力などの急性障害の症状があらわれて,陸軍病院に入院した。
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