ぷりずむ
被爆者検診から
園田 真人
1
1福岡県粕屋保健所
pp.772
発行日 1986年11月15日
Published Date 1986/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207371
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毎年,春秋の2回,保健所の健康相談室に原爆被爆者たちが集まってくる.被爆者の健康診断は,戦争が終わってから12年目の昭和32年にようやく始められた.そのころは検査器械などが古くて時間がかかったものだが,最近は検査器械の開発が進んで数時間ですむようになった.そのころから今日まで,検診をさせていただいているが,一番目立つことは,被爆者の人たちがみな年をとってきたことである(そのころの女子挺身隊員で17,18歳の少女だった人たちも,57〜58歳になっているからあたりまえではあるが).そして,検診をするたびに40年前の8月の記憶がまざまざと思い出される.
そのころ医学生だった私たちは,アメリカ軍の空襲が激しく講義もできなくなってきたので,それぞれ自宅に近い病院で手伝いをすることになった.とはいいながら,内科診断学を習った程度ですぐには役に立たず,血液や尿の検査くらいしか出来なかった.
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