ナースのための臨床薬理・4
ジギタリスの薬物療法(1)
橘 敏也
1
1聖路加国際病院内科
pp.84
発行日 1967年7月1日
Published Date 1967/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913219
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ジギタリスは18世紀後半(1785年)にイギリス人の医師William Witheringによって医療にとり入れられたという。この頃は,植物を利用する強心利尿剤の類は各手重多様に民間に伝承されていたが,なかでもジギタリスと,夾竹桃科のストロファンツスは出色で,今日に生きており,それのみならずこの進歩した薬剤の世界にあってなお他の追従を許さない有様である。
ジギタリスはW. Witheringに紹介されてから,一時無知な乱用のために多くの重篤な中毒症状を来し,そのために治療界から全く抹殺されてしまうという憂目にあったが,19世紀初期に入って,優れた心臓学者のMackenzie,Jewisらの手によって心房細動の治療に特効のあることがわかり,再び心臓病治療の世界に復活された。この間,ギジタリス葉からは各種の純粋な,安定した,強力な薬理作用をもつ有効成分(強心配糖体)が相次いで取り出され,最近は薬理学的にも特色の異なった製剤が出て一層使いやすくなった。
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