看護の潮 現代の母性とその看護
公衆衛生看護部の現状とこれからの母性看護
松下 和子
1
1聖路加国際病院公衆衛生看護部
pp.48-52
発行日 1967年6月1日
Published Date 1967/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913174
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はじめに
そもそも治療活動から発達した医学は,だんだんと進歩するのに従って,すでに病気になってしまった人を治すことよりも,人びとがより健康を高め,病気にならないようにするにはどうしたらよいか,また,万一病気になったら早いうちにそれを発見し,より適切な医療を施してゆくことを考える,いわゆる予防医学の重要性が認識されるようになった。そして,近年「病院は治療機関」「保健所は予防機関」という考え方はすでに古く,いわゆる総合医療,総合保健という立場で,病院も予防活動に貢献しなければならないし,保健所も治療という面も考慮に入れ,両者がお互いに歩みよりをすることが必要であるといわれるようになった。WHO専門委員会の勧告文に「予防という丸薬は治療という糖衣に包んで民衆に与えなければならない」という一文がある。これは一般民衆は日頃健康に過ごしている時は,健康のありがたさをあまり感じない。自分が病気になって苦しんでいる時,または身近かの人が病気になって困っている時に,はじめてしみじみと健康のありがたさを感ずる。したがって,病人を中心としてそこから拡がる保健指導は相手にすなおに受け入れられることが多く,病院で行なう保健指導は絶好の機会であるという意味であろう。
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