看護の潮 現代の母性とその看護
インタビュー・Ⅰ 現代の母性を語る
木下 正一
1
1賛育会病院
pp.22-24
発行日 1967年6月1日
Published Date 1967/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913167
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無痛分娩と母性
無痛分娩,すなわち腹を痛めずに子どもを産むということは,母性という大切なものが薄れてきつつある最近の風潮をあらわす一現象ではないかという編集部の方の質問です。私はまずそのおたずねをとっかかりにして,母性というものについてお話しいたしましょう。
“無痛分娩と現代母性との関連”,その結論はさしおくとして,まず理解していただかねばならないことは,無痛分娩というものがなるべく痛くないように,安易に子どもが産めるようにと考えてはじめられたものではなく,まったく医学的な見地から,母体と子どもをできるだけ安全に保つことを目的にしているということなのです。このことは,無痛分娩をなさろうとするお母さん自身に第一に理解しておいてもらわねばならぬことでしょう。ですから,結論はさておくと申しましたがこの医学的見地からすれば,冒頭の問題は本来からすれば,一応関係のないことだといえましょう。しかしながら,なるべく腹を痛めずに子どもを産みたいと思う母親の心理は否定できぬものかもしれませんし,また腹を痛めること自体は母親にとって意味があることなのかどうか,そのへんのことは,実はだれもわからないというのが本当なのではないでしょうか。
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