ものがたり・日本の医学・事始・4
地方開業医
しまね きよし
1
1“思想の科学”
pp.85-87
発行日 1967年4月1日
Published Date 1967/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913120
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■各時代の医師の身分
医師の存在は,日本においては,平安時代にまでさかのぼることができるが,彼らは朝廷や貴族または上層武士の医療にあたっていた。そして,彼自身がその階層に属する一員であった。一般庶民のための医師が出現するのは,鎌倉時代以後である。
近世初期の名医として有名な曲直瀬道三が僧侶出身であった例にみられるように,その当時の医療は,ほとんど僧侶の仕事であったが,17世紀にはいると,医学は仏教から分離して,独立した学問として成立し,それとともに,医師が医療専門家として成立した。
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