看護の潮 看護学形成への探求
誌上看護研究室 第3のテーマ
再生不良性貧血の看護,とくに出血の予防
吉田 カヨ子
1
,
鳥井 幸子
1
1熊本大学医学部付属病院内科
pp.27-30
発行日 1967年2月1日
Published Date 1967/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913028
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まえおき
再生不良性貧血とは,骨髄における赤血球系,白血球系,検球系の3系統の細胞に生成障害があり,そのため末梢血液には正色素性ないしは高色素性の高度の貧血とともに,白血球減少ならびに栓球減少を来し,かつ種々の治療によっても容易に血球再生能の回復がみられず,きわめて難治の貧血をいう。
本症は,1888年Ehrlichが,高度の貧血と白血球,就中好中球の減少ならびに栓球の減少を呈し,著明な子宮出血を伴なって死亡した1婦人を剖検し,大腿骨骨髄がまったく脂肪化しているのを認めて,これを骨髄造血機能の頽廃による貧血Aplastische Anaemieとして報告したのに始まる。その後Frankなどにより,独立した疾患として認められ,報告も次第に増加するに至った。わが国においては,小宮教授が昭和10年再生不能性貧血なる名称に対して,再生機能減弱性貧血を区別し,これら両者を一括して,再生不良性貧血と呼ぶことを提唱され,爾来本邦においては再生不良性貧血なる名称が広く一般に用いられるようになった。
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