カンボジア看護紀行・8
“所変われば…”の話
手柴 房子
1
1国立東京第一病院手術室
pp.88-89
発行日 1966年11月1日
Published Date 1966/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912946
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■看護婦・助手・クーリー・家族の役割
“所変われば品変わる”と申しますが,服装も異なれば看護の性質も日本の看護婦さんとは相当の開きがあるように見受けられます。日本的に看護婦と申しますと,ドクターの診療介助も一つの仕事ではありますが,それよりも患者さん中心のお世話,いわゆる看護が主な仕事目的だと思いますが,カンボヂアの看護婦(夫)さんは,社会的身分も高いせいもあるのでしょうが,看護といえば診療が主な仕事のようです。バッタンバンの州立病院の例をみますと,ベッド数約150床,外来患者1日平均200〜300人といいますのに,ドクターは3人しかいず,いったいどのようにしてこれだけ多人数の患者を診るのかと思いましたら,外来診療は看護夫が行なっているとのことで,どうしても彼らの手に負えない場合のみドクターに回すのだそうです。それでは患者の看護はと申しますと,それは付添っている家族の役目です。これは彼らの習慣でもあるのでしょうが,患者1人が来院するのに,2〜3人の付添いがついて来るようです。入院ともなりますと大変な騒ぎで,家族をあげて鍋釜,むしろ,枕などを含め,家材道具すべてを持込むのではないかと思われるほどの大移動です。そして1つのベッドに2人寝ている風景はごくあたり前のようです。処置をする前にどちらが患者さんかを確かめてから始めなければならない始末です。
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