戦後20年記念「ナースの手記」佳作
ビルマ第106兵站病院
漆山 千代子
1
1国立療養所高山荘
pp.93-95
発行日 1966年7月1日
Published Date 1966/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912816
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●あふれる患者の中で
内地帰還の目的を以て,ラングーン第106兵站病院に転属を命ず。昭和19年3月みんなの待望の交替班が到着し,申告,申送りも無事終わり,この機会を逃がしたら海上が危険で還れなくなるからと,2ケ年間の想い出を残して,メーミョウを後に皆嬉々としてトラックの人となった。
全3日間のやけつくような暑さも,ほこりもあまり苦にもならず,ただ内地を目ざして,ラングーンに到着,休む暇もなく転属の申告も終わり早速勤務に就いた。勤務先は第10病棟,ビクトリヤ湖のほとりのマンゴー林の中に点々と建てられた16棟。院室1棟が1号室で14棟と事務室,倉庫,処理室,診断室などが2棟であった。割合平地の所は少なく,病室間には谷あり川あり坂ありの文字通りジャングル病棟であった。患者定員250名の所へたしか200名くらいであまり重症者もなく,大半はマラリア患者であった。
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