特集 看護婦の勤務と生活の合理化
第1部 職場の能率をあげるために
Ⅱ看護用具の工夫と夢か
耳鼻咽喉科用具について
金山 きぬ子
1
,
角張 光子
1
1東京逓信病院耳鼻咽喉科
pp.48
発行日 1961年6月15日
Published Date 1961/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912530
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耳鼻咽喉科万能治療台(ユニット)が,わが国に広く利用されるようになつたのは,第二次世界大戦後だつたと思います。この治療台の普及は,耳鼻科にとつては医療看護の面での大きな合理化だつたのです。ところがこの万能台は,現在では私達が夢見るものとは全く違うものになつてしまいました。いま私達が夢に描いているのは,小型ユニットの取りつけたベッドの万能化,診療台の万能化とオートメ化,患者輸送の自動化などです。これらの実現で,手術後の処置も重症者にも便利なベッドとなり,氷枕やガーゼの整理に暇もなかつた時代は,歴史となつてしまうわけです。しかしこのような超近代化に反対者がないわけではありません。しよせん時代の流れには抗しかねるとしても—
チヤップリンの「モダン・タイムス」という,機械化した世界と人間性の喪失をテーマにした映画は,当時の人達に大きな感銘をを与えましたが同じような喜劇は現実にも現われているわけですね。毎年毎年の研究機械の改善による成果は,人間の努力の結晶によるものであり,それが喜劇に終らなかつたのは,便利でしかも容易に利用出来て生活にとり入れられたからだと思います。このような改良研究によつて完壁に近い,設備が整い,医療も看護も十二分に出来る現在でも,これに反対するものがいます。彼らは文化の恩恵にあずかつていながら満足せず,口々に自然に帰れ自然に帰れといつていますが,皆さんはどのように思いますか。
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