講座 2頁の知識
「快感帶」の話
北 博正
pp.36-37
発行日 1953年11月15日
Published Date 1953/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912493
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われわれの暑さ寒さの感じを左右する外界の条件は単に気温だけではなく,これに濕度,気流,輻射熱が加わつて,綜合的に作用するもので,寒暖計では非常に暑い筈なのに,思つたほど暑くなかつたり,またその逆のこともしばしば経験するところである。このため,このような綜合作用を一つの指標で表現しようと,いろいろな方式が行われているが,米国のヤグロー等は非常に多数の人体実験の結果,温度濕度,気流の三者の綜合作用を感覚(実効,実感または等感ともいう)温度(E.T.と略す)という一つの指標であらわすことに成功し,ひろく応用されている。
附図は感覚温度を求めるための図表で,左側に乾球温度,右側に濕球温度(この両者から濕度を求めることは御存じの通り)の尺度を示し,左下から右上への不規則な平行曲線は気流—普通はカタ寒暖計とくに乾球カタ寒暖計による乾カタ値と気温から公式によつて算出する—であつて,これを横切るように細かく引かれた平行曲線は感覚温度をあらわしている。
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