ポイント
愚痴
二木 シズヱ
pp.65
発行日 1964年11月1日
Published Date 1964/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912442
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話すことの拙い私に,アルバイトをしていた所の病院長が,「話し方教室婦人講習会」に参加してみたらとすすめてくれた。箱根のある旅館において1泊2日の日程で,話し方についていろいろ学べるという。都内のごみごみした所に住んでいると,空気らしい空気どころか,すみきった青空さえみることができぬ生活に閉塞感を抱いた私は新緑の箱根に魅せられて友人と2人で出かけてみた。
確かに来てよかった。水の中にはなたれた金魚のように全身から甘い酸素をすい,太陽と青葉に顔をむけて富者の如く自然の存在をたのしんだ。「来てよかった」私はもう一度誰にともなくつぶやいた。
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