特集 進歩した“眼科”のすべて
斜視・弱視クリニック
山本 裕子
1
1東京大学医学部眼科学教室
pp.45-48
発行日 1963年11月1日
Published Date 1963/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912062
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斜視・弱視クリニックとは
最近,眼科の診療の中で弱視や斜視の問題が大きくとり上げられてきました。今まで眼などは片眼さえ見えれば差しつかえないという考え方が,かなり通用してきたようですが,精密作業にたずさわる人の場合など,両眼視機能(両方の眼でものを一つに見て,立体感や遠近感覚を得る働き)がないと非常に困難な仕事がふえてきています。顕微鏡一つを例にとっても,最近は双眼顕微鏡が多く使われるようになりましたし,また,とくに自動車の運転には,両眼視の働きはかなり必要な条件になります。
そのため,眼の位置が狂っているため両眼視できなくなる病気の斜視や,それに伴う弱視の治療が大きな問題となって来たわけです。外国ではこれらの治療がかなり前から問題にされ,実際にどんどん行なわれていましたが,わが国では最近の数年間にやっと研究も進み,大学病院はじめ大きな眼科医院で実際に治療が進められて来たところなのです。
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