海外トピックス
医療に利用される遠隔無線診断装置—病院の無線看護装置
北上 幸雄
pp.60
発行日 1962年12月1日
Published Date 1962/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911802
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最近,ソ連のスポーツ医の間で,テレメトリー(無線送信装置)をもったヘルメットが,トレーニングや競技中のスポーツマンの健康診断に使用されている。これはスポーツマンの疾走中の心電図を測ることのできる遠隔無線計測用ヘルメットで,金属性の突起の部分はアンテナになっている。このヘルメットからスポーツマンの着衣の下に本の細い尊線が走り,その先端は心臓のまうえにおかれている。頭上の送信装置がつたえる心臓の信号が,トレーニング中のいちばんはげしい時に,スポーツマンの心筋がどのように動くかを医師におしえる仕かけである。信号は走者から200〜300メートルはなれた,練習場の端にすえつけられた受信機によって受信される。
電波の信号は受信機で記録紙に記録されるのだが,スポーツマンが力をふりしぼる時に心臓のもっとも奥ふかい秘められた部分が明るみに出され,その際,目につかない病気が発見される。この新しい方法を利用して,医師はスポーツマンに重要な忠告を与えることができるようになったといおれる。すなわち,電波で送られてくる心電図を調べて医師はそれぞれの走者のうち,誰がオバー・トレーニングであり,誰が休息しなければならないか,逆に誰が,まだ余力をもっているかを,スポーツマンやトレーナー自身よりも前に,彼らに指摘することができた。
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