政治と看護界
林塩50万票の意義
大渡 順二
1
1保健同人社
pp.13-14
発行日 1962年10月15日
Published Date 1962/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911741
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「林塩50万票の意義は如何」という公案を出されたが,日く,日本の看護婦諸姉のため万才を叫びたい。ついで日本の医療制度のための万才,日本の母と子のための万才を叫びたい。ずいぶん欲ばった答案だが,私はこの三つに意義を感じる。
まず看護婦諸姉のため,大いに気を吐きたい。看護婦対策は非常に遅れている。だいたい,看護婦の養成を病院の付属施設にしているなんて現象は,まるで私たち患者が私たちの医療費で看護婦を養成しているということで,こんな馬鹿げた話はない。おまけに,私たち患者は,私たちの支払う医療費で,医者の病院までたててやっている。病院の役員といい,看護婦養成といい,こういう公的な仕事はすべて国がまかなうべきものだと思う。だから東京大学はじめ各大学でも,看護学科を大学から外して独立させようなどという気運がでてくる。看護婦養成などという教育事業が,経済的ソロバンにのるはずはないのである。林さんが国会に議席を得たうえは,看護婦養成だけでなく,こういうふうな,国でやるべくして国でやっていない仕事を,国でやるような気運をつくっていただきたい。無医村対策だって同じだ。経済的なソロバンを入れるべき問題ではない。
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