Nursing Study
胸部外科看護におけるPhysio Therapie—肺機能訓練療法
横見 和喜子
1
,
中島 由美子
1
1関東逓信病院結核病棟
pp.53-61
発行日 1962年7月15日
Published Date 1962/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911687
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
結核の社会復帰の問題を考えるとき,従来は決して明るい見通しのあるものではなかった。しかし近年化学療法と外科療法の進歩はめざましく,術後5年〜1年半を要した職場復帰も1年から半年へと短縮を重ね,失職,職場転換など暗い問題も影をひそめ明るい方向へと進んできた。こうした中でより完全に近い社会復帰が治療看護の面でも強調されてきている。というのは胸部手術に際しては肺切除,肋骨切除,それに伴う血管,神経,筋肉の切断は障害も大きく,体力,肺機能減退,四肢,関節の運動制限を来す点が注目されている。例えば肺活量の減少,胸廓の変形,春柱の彎曲,上肢の運動制限,術側肩の落ち,首の曲り等が挙げられている。これらの障害をできるだけ防止し,かつ手術の効果を確実にし体力の早期恢復を計る目的でとりあげたのがPhysio Ther—apie(以下PTと略す),即ち肺機能訓練法である。
各人の安静度に応じたPTの実施は機能障害を最少にとどめ,完全恢復に近づけ,療養期間を短縮するが,それと同時に患者自身の努力で効果が左右され患者に精神的な張りを与えるので毎日の療養を明るくし希望のある生活が送られるようになってきた。
Copyright © 1962, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.