救急診療
ガス中毒
牛尾 耕一
1
1東京労災病院
pp.30-32
発行日 1970年1月10日
Published Date 1970/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202930
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COと中毒
身近にある一酸化炭素CO中毒を中心に述べる.
CO中毒は都市ガス(CO含有量4%)や炭塵爆発によるとはかぎらない.プロパンなど炭素を含むものは燃焼に際し酸素O2が十分になければ不完全燃焼の結果,COを発生する.密閉された部屋での煉炭火鉢による中毒は珍しくない.
COは血色素Hbとの親和性がO2の200-250倍なので,吸入されたCOはすみやかにCO-Hbとなり,その濃度いかんによっては数分以内に致命する.中毒のメカニズムは組織のO2欠乏症が主体であり,したがって中枢神経系がもっとも強くおかされる.またCOには呼吸酵素系などに直接作用するとの見解もある.CO-Hb濃度と症状との関係は表1に示した.また図1に示すように毒性は気中濃度,作用時間および労働の程度に依存する.労働時には安静時よりも吸入の影響が大きい.都市ガスは危険予防のため特有の臭気が与えられているが,地下埋設管の破損個所から地中を通って屋内に侵入するときは臭気を失い,本来の無臭の気体となるのでいっそう危険が大となる.
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