小児緊急室
ガス中毒
山田 高治
1
1東京消防庁・救急部
pp.1490-1492
発行日 1974年11月10日
Published Date 1974/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205676
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ガス中毒とその原因
一酸化炭素ガス中毒の問題は,社会的に問題になりつつあるが,社会の近代構造と市民生活の様態,家屋構造の密室化が一酸化炭素ガス中毒患者の発生を多くしている.昭和48年東京消防庁の救急車で扱った14歳以下の小児のガス中毒は,不慮の事故61名,自殺の目的(まきそえ)30名計91名であった(死者を含まず).その中,入院を必要としたものは,不慮の事故54%,自殺の目的は74.7%であった.これは患者の発見がおくれるためである(表1).
小児の場合,小児単独でガス中毒にかかる例は少なく,多くの場合大人を含めて複数・多数で一家族全員がガス中毒患者として一線の医院の往診,または救急車により救急搬送されて手当てを受ける.そのため,医療側は,多くの人手を必要とするので,医療機関全員で手当てに当たらなければならないことが多い.同一状況のもとで中毒になった患者でも,その軽重度が異なるために,優先的に手当てを行なうべき患者の判断とその治療順位の決定が常に適切でなければ救命することができない.
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