——
ナースのいない診療所—七川村直營診療所
石原 隆良
1
1大阪出張所
pp.62-64
発行日 1961年4月15日
Published Date 1961/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911319
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
「ここは和歌山の軽井沢だ,是非遊びに来給え」
去年の春国家試験をパスしてかけ出しのお医者様になつた友人がこんな手紙をくれたので,ものは試しと出掛けてみた。目的地は和歌山県東牟婁郡古座川町国保直営七川診療所である。
大阪の天王寺を朝9時半に出る準急が紀伊半島西岸を走り続けて最南端の串本に着くのが午後2時過,更に東に二つ目の駅が古座で2時20分頃に到着する。ここから山奥に向つて入るのであるが,往診をすませた友人がスバル360と称する軽四輪車で迎えに来てくれたので狭い助手台に乗つて「忙しいところをすまないな,バスででもと思つていたんだが」と挨拶すると,「君,バスなんてものは1日に4回しか通らないんだ。しかも汽車と接続してないんで」と云われて驚き,「それにしてもここからどの位かかる?」ときけば,「たつぷり1時間はかかるな」と軽く云つてのけられた。
Copyright © 1961, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.