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癩療養所の日記
倉重 節子
1
1国立大阪病院
pp.58-60
発行日 1960年9月15日
Published Date 1960/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911168
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☆3月1日
最近は卒業試験のためにひどく疲れているようだ。就職の事,ことに癩療養所に行こうかと言う考えは,ますます私を苦しめるので当分の間は考えないようにしていたのだが,ここ2, 3日前からまた私はその考えに取りつかれだした。
癩療養所に行こうと心に決める事は悲しく恐しく,また行くまいと心に決める事は,なぜか諦めきれぬ未練を残し,私はこの相反する欲求の交叉の中に嘲弄され続け,へとへとに疲れている。
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