ナースの作文
希望がかなえられて,他
青竹 秀子
1
1福井県立高等看護学院
pp.70-73
発行日 1959年11月15日
Published Date 1959/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910970
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私が将来に大きな希望を抱きここに入つて来たのは2ヵ月前。入学当時は寄宿舎生活に慣れるために一生懸命だつた。私は団体生活にも慣れ,自由時間も見いだすことができるようになり,読書に,作文に,日曜日毎に帰宅し自分の手で調理するための献立,英語力を養うためと趣味のための海外文通の下書きも,自分の将来についても考える余裕が出てきた。
私は中学校を卒業する時にナースになろうと決心し,親や親類の猛烈な反対のために自分の意志を通すことができなく,高等学校の商業科に入学してしまつた。両親に心配させないことが親孝行だと思つて,3ヵ年を終えたらどこに出ても恥ずかしくないビズネス・ガールになろうとして,珠算クラブに入り,そこに1年半ほどいて珠算だけでは駄目だと思つてタイプクラブに入り,ここでも卒業までねばつていた。3年生の2学期ごろ1流会社へ就職試験を受けに行つた。1次はパスしたけれども,2次で落されてしまつた。私はこのころから今まで潜在していたナースへの望みが再び現われてきたのをどうする事もできなかつた。しかし,先生の紹介で2回目の就職試験を受けた。男女130余名中,合格したのは13名だつた。女子の合格者はその中の3名だつた。私もまぐれでその3名の1人に加えられていた。父母は大変に喜んだが,私はそんなにうれしくなかつた(もちろん,パスしたという点ではうれしかつたが)。
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