講座 乳癌と子宮癌
女性性器癌について
御園生 雄三
1
,
田中 穣
1
1千葉大学産婦人科教室
pp.40-44
発行日 1959年9月15日
Published Date 1959/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910924
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はしがき
第1図に見られる如く昭和15年より横這い状態にあつた癌の死亡率は,昭和25年頃よりやや上昇し始め,昭和32年,厚生省人口動態調査によれば,疾患別による死亡順位は中枢神経系の血管損傷(脳卒中)に次いで第2位(人口10万に対し91.2人)を占めています。昭和30年に癌で死亡した女性は39,068人に及びましたが,第2図に示す如く,子宮癌で死亡した女性は胃癌に次いで第2位(18.6%)で卵巣癌による死亡率は2.5%,即ち女性性器癌による死亡率は優に20%を上廻つております。癌は何故恐ろしいかと云う事は皆さんよく御存知の事と思いますが,一言にして云えば,癌は個体の正常組織とは無関係に,無制限に増殖して正常組織を侵し,遠隔臓器に転移し,これを放置しておけば絶対に自然治癒と云う事はなく,早期に発見して治療を行わなければ死の転帰をとるという事であります。
女性性器の構造を図解したのが第3図ですが,子宮,卵管,卵巣,腟,外陰の何れからも癌は発生します。その中一番多く見られるのが子宮癌で女性性器癌の殆んどを占めています。
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