臨床検査とその介助・1
脳波について
直居 卓
1
1順天堂大学医学部神経科
pp.24-29
発行日 1959年7月15日
Published Date 1959/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910887
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1)はじめに
人間の体の運動につれて,きわめて小さな電流が発生することは,すでに18世紀のはじめから注目されている。しかし,心臓などとちがつて,脳の場合は,脳膜,脳脊髄液,頭蓋骨および頭皮などの厚い層に覆われていること,またそこに発生する電流があまり小さすぎるため(心電図の約1/20にあたる50μV位の電圧しかない),記録することはなかなか実現しなかつた。
1924年,ドイツの精神科医であるH. ベルガーは,生きた人間の頭皮内にプラチナ製の電極を挿入して,はじめて脳波を記録**することに成功した。このベルガーこそ,脳波の産みの親であり,今日の脳波学の発達のもととなつた人である。
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