講座
前立腺腫大症の看護
岩内 広子
1
1関東逓信泌尿器科
pp.23-26
発行日 1959年5月15日
Published Date 1959/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910846
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泌尿器科的疾患の中の前立腺が腫大するのは多くは高齢者であるため,その症状が起つても,従来は年寄りになれば尿の近いのは当り前だとか,出の悪いのに当然だと,本人も又,家族も考えたり,また性病と勝手に結びつけて判断し,若い時の道楽のたたりが今頃出たと思い込み諦めているようなことが多かつたが,最近この病気についての認識が深まり,かつその知識が普及したことにより,素人もそれは前立腺(以前は摂護腺といつた)が腫れて大きくなつた(主として肥大症一部は癌)ためかもしれないと考えるようになり,医師を訪れるものがふえてきた。日本でも最近特にこれらの患者の数が多くなつてきたが,欧米では昔からこの肥大症も癌も非常に多く,一般に常識となつていて,前立腺剔出術電気切除術等が広く行われている。
日本でこれらの患者がふえた原因としては,上述のように疾患に対する知識が普及したことと,平均年令が延長したことと,一方食物や生活様式がだんだん欧米人と似通つてきているためもあるのではないかといわれている。このように患者がふえたということのほかに,この疾患の場合においては泌尿器科的一般看護以外に,特殊な検査や治療が多いため,看護婦として介助法,検査を熟知しておくことが最近特に必要となつてきた。
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