口絵
小さな空間に盛られた夢—狹い部屋の住い方
pp.61-64
発行日 1959年2月15日
Published Date 1959/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910798
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東京都をはじめ都市の周辺には今ぞくぞくとアパートがたてられている.若い世代にとつてもはや一軒の家を持つ事は夢にも等しい事になりつつある.これからの人々は,小さな部屋に上手に住む工夫を知らなければならない.これは寮生活をしている看護婦にとつても同様の事が云えるであろう.限られたひと間ないしふた間の小さな部屋を活用して能率的な住いにすると同時に限られた空間に沢山の夢をも盛り込まねばならないであろう.ようよう専門家によつてそれらの研究もすすめられて来たこの頃である.
狭い部屋に住むにはまず今までの生活を捨てる事が大切である.例えば結婚して家庭を持つに当つては,タンス,洋ダンス三面鏡,茶箪笥と,従来通りの一式が揃えたくなるであろう.しかし,そうなつたら,のびのびと足もなげ出せなくなるであろう.規格にあつた家具を考えること,ムダを捨てる事がまず第1条件である.次には空間を利用して,美しい棚や戸棚をつることも考えられる.この為には今いろいろの種類の釘が工夫されて来ている.そして又万能の家具を整えることも必要であろう.昼間はイスに,夜はベットに等の働きをする家具も相当売り出されている.押し入れの整理ということも実に大切なことになつてくる.今までのように深い奥行きと高い棚はおよそ使いずらいしムダが多い.いくつかに仕切つて品物が重ならないように工夫するとこの唯一つのかくし場所も案外整頓出来るものである.
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