講座
最近の精神病の傾向
加藤 正明
1
1国立精神衞生研究所
pp.41-44
発行日 1958年5月15日
Published Date 1958/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910601
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精神病の時代的消長
最近の精神病が量的に増加しているかどうか,またその内容が質的に変化してぎているかどうかということが,筆者に与えられた課題であると思う。まず,精神病は文化の進歩とともに増加するかどうかという問題であるが,これに対して賛否両論がある。
未開社会で精神病を調査した多くの報告によれば,精神病は文化社会よりも著しくすくない。筆者もビルマの一小村で一斉調査を行い,その頻度が極めてすくないことを経験したが,実際には言語や習慣上の差異や,一般社会人の間で精神病者が適応の困難をおこすことが,文化社会ほどはげしくないのであつて,これだけで未開社会に精神病がすくないとはいえないと思われた。
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