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ヨーロツパの病院をみて
近藤 駿四郎
1
1東京労災病院
pp.541-545
発行日 1958年6月1日
Published Date 1958/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201380
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ドイツに出かける直前,いろいろなその道の権威の方々にお目にかかつてヨーロツパの病院では何を見てくるべきであるかということについて御相談した。その内に「もう大きな立派な近代的な病院のことは沢山の人々がよくみてきているから分つている。それよりも中小病院をみてきて欲しい。」という意見があつて私は成程と思つた。ところでヨーロツパに行つてみると独仏英何れも病院の設備の近代化には大変な力瘤の入れ方であり,また私もやつぱりそういう新しい設備をしている病院に目移りがしてしまつたのは止むを得なかつたが,前記の忠告があつたために,ある程度時間を割いて一応ヨーロツパ各地の中小都市の中小病院,個人開業医の診療所なども見ることができた。ヨーロツパで各種の病院をみている内に私はいろいろのことを考えさせられた。医学教育のあり方,将来の医療はどういう方向に進むべきであるのか,これに附随して医療社会化の問題,病院のあり方等である。それで以下これらの問題について病院見学を中心として私の旅行見聞記を書いてみようと思う。
ヨーロツパの立派な病院といえばスエーデンのストツクホルムの病院を第1に挙げることになつているらしいが私はこの病院は見学しなかつた。ドイツでは大学の病院などは全体的にいつてその建物は決して立派なものではない。Münchenの大学の外科などは爆撃を免れた為か依然として古い建物を使つている。
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