口絵
—結婚しなくても子供がなくてももう困らない—老人の村
pp.1-8
発行日 1957年10月15日
Published Date 1957/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910436
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伊豆山に楽しい老人の村が出来たと聞いて,汗のふき出る真夏の一日,熱海市伊豆山の財団法人老友会,寿楽荘を訪れた.この暑い日にも,涼風が渡り,眼下に相模湾をのぞんだ絶景に位置した寿楽荘,まさに平利な老人村だと思われたが……,やはりここも先だつものは金の印象を受けた.しかし30万か50万のまとまつたお金があり,月々7〜8千円の収入がある見込さえたてば,うるさい義理や,儀礼から放れて,老人同志,助け合い楽しみ合う生活は酒脱なものと思われる.
老人村は,アパートと独立家屋からなつている.アパートは2棟,独立家屋は現在6軒,建築中のが1軒あつた.椿と猛宗竹の山間の林を300坪ばかり切りひらいた平坦な土地に,建てられた,こじんまりした文化的なモルタル家屋である.どれも平屋で6畳,4.5畳の2間に台所,浴室,便所.住人の好みによつて多少の差異はあるがだいたい間取りも同じ老人の生活故,無駄を捨てて都合よく使用されている.
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