2頁の知識
—“Tranquilizer”—精神安定剤について
平井 富雄
1,2
1東大衞生看護学科
2東大小石川分院神経科
pp.68-69
発行日 1957年8月15日
Published Date 1957/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910414
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Chlorpromazine(コントミン,ウインタミン)に鎮静作用のあることが知られて(1952),精神病や神経症の治療に利用され,精神科領域における薬物療法の大きな役割が注目されたのはつい最近のことですが,異常精神状態を和らげ,神経的緊張をときほごす薬剤が,その後もつぎつぎに発見,利用されています。そして“精神薬理学”という薬剤の精神機能におよぼす影響を研究する新しい学問の分野も生れてきました。
最近,Tranquilizer(トランキライザー)として精神薬理学の上に新しい話題をよんでいる薬剤は,従来のバルビタール酸系の楽とちがつて,催眠作用なくいら立つた気持を落ちつかせ,不安を取り除き,精神的緊張をとく薬剤をさしています。“tranquilize”とは,鎮める,不安をとり除き,静かにさせるなどという意味で,Tranquilizerとは,その作用の見地から名づけられた言葉です。ですからこの中には,いろいろなものが含まれているし,その範囲も人によつて解釈が異なり,必ずしも明確な一連の薬剤をさしているわけでないようです。
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