時の動き
恐るべき戦争の危機/安保条約成立と岸首相退陣
pp.48
発行日 1960年8月15日
Published Date 1960/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911147
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アメリカのU2型機のソ連領侵犯事件がもととなつて,東西首脳会談は流産し,アイクのソ連訪問もとりやめとなり,再び米ソは冷戦の時代へと逆もどりしました。
ことに5月30日,マリノフスキー・ソ連国防相が,「アメリカのスパイ活動を許す基地をつぶすようロケット部隊に命令した」と声明したことは,アメリカばかりでなく,世界を戦争一歩前の段階に追いつめた感がします。「アメリカのスパイ活動を許す基地」といえば,日本にもたくさんあり,問題のU2型機は厚木(神奈川県)にもいるということです。われわれの知らぬ間に厚木基地を飛び立つたU2型機がソ連領をスパイしたら,厚木には空のかなたからロケット弾が雨あられと降つて来るというわけです。恐らくソ連のどこかの基地のロケット部隊では,既に厚木行きのロケットの照準を合せてあって,ボタン1つ押せば,数分後に厚木全滅という仕掛けになつていることでしよう。全く恐ろしいことです。
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