講座
気管支喘息と食餌
北原 静夫
1
1同愛記念病院アレルギー診療室
pp.53-57
発行日 1957年2月15日
Published Date 1957/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910288
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
米国のアレルギー研究者の談話会でカウフマン博士は,悪い少年は食物によつて脳アレルギーを起すためであると悪童を保護しております。一例として何時も疲れ易く失敗ばかりしている学童をあげて,その母親に子供の食物と疲労を一番感じた時を記録してもらつたところ,卵を食べた後が工合の悪いことが分りました。そこで食餌から卵を除いたらその少年は精神が非常に爽快となりクラスの一番になりました。母親はこんなことは信じられないから,カツレツを作る時に卵を混ぜた所食後その少年は“卵を食べていた頃と同じ感じだよ”と云つたそうです。又或る会社員で仕事が好きで会社が余り混雑しない時は充分仕事をやりのけるが,非常に忙しい日には午後になると寝ころんでしまい同僚に不平を云われました。よく調べますとこの人は多忙な日には出前のチーズとナンドウイツチを食べますが,通常の日にはミルク製品を含まないランチを食べるのです。つまりこの人はチーズにノツクアウトされていたのです。
牛乳,鶏卵,えび,かに,まぐろ,さば等は私共の日常の食物で,健康な人は之を食べても栄養にこそなりますが決して何の障害も起りません。然し多くの人の中には普段は全く健康であるのに,牛乳,卵,えび,さば等を食べると忽ち嘔吐や腹痛,下痢等の胃腸障害を起したり,蕁麻疹,片頭痛,気管支喘息さえ起す人があります。
Copyright © 1957, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.