特集 こういう看護を何故すべきか
呼吸に関する看護
菊谷 一子
1
1東京都立第一高等看護学院
pp.94-98
発行日 1956年10月15日
Published Date 1956/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910201
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1.呼吸とは
呼吸とは生体が生活を維持するために必要な酸素を取り入れ,体組織の酸化過程の結果生じた炭酸ガスを排泄をする働きを云う。高等動物に於ては,呼吸を,呼吸器管によつて行われる外呼吸と,組織内部で行われる内呼吸に別ける。即ち呼吸運動により気道に吸い込まれた空気は肺胞に達し,こゝで肺組織中の血液との間に酸素と炭酸ガスの給受作用が行われる。酸素に富んだ血液(動脈血)は肺から心に運ばれ,心搏出運動によつて末梢組織に送られ,そこで酸素は組織液中に移り細胞に達する。逆に細胞から組織液に出に炭酸ガスは血液中に重炭酸塩としてとけこみ静脈血となり心の働きによつて肺胞の毛細管に迄運ばれそこで炭酸ガスを肺胞中に放つ。
即ち呼吸の本来の目的はガス交換ということであり,我々が各自の体を維持する為の熱量は吸収された栄養素(蛋白質,脂肪,炭水化物)が組織内で燃焼する事によつて生ずるのであるがその燃焼は呼吸作用によつて始て円滑に行われるのであります。
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