Student's page 松江赤十字高等看護学院
松江赤十字高等看護学院/学院盛衰記
武藤 多作
pp.54-56
発行日 1956年5月15日
Published Date 1956/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910129
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地図を拡げて見ると,私共の松江市は細長い島根県の東の端,宍道湖の水が中海に出るその出口にある。人口は附近の村を合併してやつと10万。松平公17万石のお城下町そのものは5万余で,大橋川を挾んで南北に分れている。この川にかかる二つの橋の湖寄りの方を「松江大橋」と云う。安来節で有名なあの大橋だ。この橋の中程の展望台に佇んで眺める景色こそ誠に美しい限りで,東に伯耆大山,西に宍道湖,夢の様に浮ぶ嫁ヶ島七色に変る雲の色を眺めていると,時の移るのを忘れる位です。
市の北西部,人呼んで城山と云う緑の丘の上に,松平公の居城千鳥城が聳えている。その天守閣に登つて東を見ると,すぐ目の下に私共の病院の分病棟が見える。そのすぐ北には樹齢数百年の古松の森が見える。その中に三階建の病院職員アパートが建つている。円筒型病棟のある本院はこの分病棟から約400メートル程南にその可愛らしいドウナッツ型を学校や中電の鉄筋の建物の間に現わしている。病院はこの様に本院と分病棟との二群に分れているが,本院の方には外来診療各科,一般病棟,急伝病棟と私共の学院があり分病棟の方には結核病棟,保護室,乳児院,血銀,炊事場,研究室,それに私共の寄宿舎,運動場などがあり,ベツド数は合計526床ですが,大体450床位いつも入院がある。医師33名,看護嬬120名,全職員310名の上に私共学院の学生60名と云う大世帯です。
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