2頁の知識
新医療費体系—新しい医療報酬の組立て方
橋本 寿三男
1
1厚生
pp.106-107
発行日 1955年10月15日
Published Date 1955/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909941
- 有料閲覧
- 文献概要
病気をして医師の診療を受けた場合,患者が医師に支払う報酬を昔からよく藥価とか藥礼といわれています。これは漢法医時代の名残りが今日まで続いているということができましよう。その頃,医師は「くすし」と呼ばれ病気をみたてゝ藥を与えることが医師の治療手段の大部分でありました。従つて,何もかも藥代に含めておけば,医師はたいていの場合,患者からその報酬を受取る機会がありましたし,特殊な藥品を除いては原価も僅かでありましたから,藥の価格などの問題でなくその殆んど全部が医師の「みたて」に対する謝礼と考えてよかつたわけであります。
こゝ数百年の間に医学は急速に進歩しました。今日,医療は非常に高度の技術を必要とするようになり,專門化し,同時にそれを行うに要する費用も多額に上るようになりました。それにも拘らず,今日医師は依然として昔のまゝの形で診療の報酬を受けなければならない仕組になつております。欧米各国の例をあげる迄もなく,今どき医師にかゝつて藥代だけを支払う様な習慣を依然としてもつている国は他にはないといえましよう。
Copyright © 1955, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.