特集 ナースのための精神身体医学
精神病看護の特殊性と看護者の心構え
広瀨 喜美子
1
1国立肥前療養所
pp.157-159
発行日 1954年10月15日
Published Date 1954/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909676
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病人を看護する看護者にとつて最も大切な事は,患者に対する慈愛の心であることは,こゝに挙げる迄もないことでありますが,特に精神の分裂,知能の欠損,或いは危険な異當性格を有する者を看とる看護者はその変転極まりない精神症状,或いは苦悶に満ちた心理を理解するために愚者と親密な接触をなし,その病める心の中に飛び込んでゆけるだけの心の温かさと思いやりを持つてをることが,看護上にも治療上にも最も大切な事であります。精神科患者の特殊性の主なるものは
1.病識のないこと。
2.人権を守り,主張する能力のない事であると思いますが,この為に様々な困難性を伴つて参ります。この特殊性と共に看護者の持つべき心構えのうち特に重要と考えられますものを述べます。
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