講座
体温に就て
田坂 定孝
1
1東京大學
pp.11-14
発行日 1953年10月15日
Published Date 1953/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909417
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体温はヒポクラテスの昔から生体のバロメーターの一つとして注目せられてきた。その測定は現今遍く普及しているが,今を去る300年の昔に,水銀寒暖計が發明せられたに初まる。
一般に生物は総べて或る程度外界気温より高い温度を有するが,これらを分つて,人類の樣な恒温動物と,外界気温の変動によつて体温も又変動する変温動物とに分けられている。恒温動物の恒温性は,温熱の産生と放散なる相反する機轉の均衡を保持する能力によつて環境気象状態の変化や,内的要約(筋肉労作,攝取食品の質及びその量など)に変化があつても常に略々一定の体温を保ち得るのである。
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