講座
心理的ショック
懸田 克躬
1
1順天堂大學
pp.15-17
発行日 1953年10月15日
Published Date 1953/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909418
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“心理的シヨックをうける”というような言葉は,よく,われわれがみずかから語りもし,ききもしていることではあるが,さればとて,具體的にそれがどのような状態をさしているかをきめることになると,かならずしも,たやすいものではないようである。
一般に身體的なシヨック状態といわれるのは,はげしい刺戟(たとえば,大きい外傷,電撃,大きい出血,神經へのはげしい急げきな刺戟,心理的なストレスなどのようなもの)をうけた結果として,心臓や血管運動系や呼吸器などの働きが急な衝撃をうけ,加えて,運動や知覺,さらには反射的行動なども制止されてしまうような現象を總括して,ばくぜんとシヨツクといつているものゝようであるが,心理的なシヨックという場合には,これよりも,一層ばくぜんとしたものであつて,はげしい心理的な衝撃をうけて,そのために,心理的な機能が一時とまつてしまうとか,重大な障害をうけるとか,または,異常行動が誘發されてくるというような場合をさしているようである。
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