ルポルタージュ
手足の不自由な子供のために—中央療育相談所及整肢療護園をたづねて
山田 昌子
pp.61-63
発行日 1953年1月15日
Published Date 1953/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661907233
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肢體不自由兒の治療と學業の相談所
中央線市ヶ谷驛から,3分もかゝるだろうか,石段を登つた八幡様の境内に中央療育相談所がある。玄關を入るとすぐ待合室であるが椅子等は少しで,樂しいおもちやが澤山置いてある。10月11日が開所式だつたと云う,さすがに新しくきれいだ。
所長の高木憲次先生から,お話を伺つた。この相談所は小児麻痺 先天性股關節脱臼,骨關節結核その他に依つて,手足が不自由な子供の治療や,學業の相談のために,社福法人日本肢體不自由児協會により開かれたものである。昭和24年秋から高木先生を中心とする相談班が,全国を無料巡回して來たが,先月四国のある縣などでは相談日の公示と共に,早朝から多數の患者がつめかけ,受診者を先着230名に限らねばならなかつたことさえあつたと云う。相談を受けた肢體不自児のうち治療が可能なるにもかゝわらず,これを放つておいた例が77%に達し,而もこのうち三分の一は,治る疾だつたとは知らなかつたと云う事だ。
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