特集 世界のナース
フランスの看護婦教育
北本 治
1
1東大傳研附屬病院
pp.24-28
発行日 1952年5月15日
Published Date 1952/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661907051
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歐洲の看護婦の樣子については,アメリカのそれに比べると,餘り紹介されていないと思われる。筆者は1950年9月から1951年10月迄,主としてパリーに滯在していたので,フランスの看護婦教育を中心として,知り得た點を少しばかりお傳えするが,もしも參考になれば大變幸いである。
フランスはカトリック教の盛な國で,國民の約8割がこの舊教を信仰しており,その宗教團體の有する勢力は大變なものである。そしてその宗教團體に入つている多くの修道女(ルリジューズ)(Religieuse)たちが病院に奉仕的に働いている。これらのルリジューズたちは比較的近年まで,必ずしも看護婦の國家試驗をうけないで働けたが,近年は一律に國家試驗をうけねばならなくなつている。その關係もあつて,その數は漸次減少しつゝあるが,パリーの病院を訪れると,普通の看護婦の外に,これらのルリジューズを屡々見受ける。泰西名畫の病院の繪に出てくるような姿を實際に見るのである。私の主としていたパスツール研究所の附屬病院も,私が屡々出入したラエンネック病院や,ナルペトリエール病院,オテルデユー病院,などもそうであつた。歐洲の病院には大低どこでも,教會が附屬しているが,之はルリジューズ達の爲のものである。
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