発行日 1952年2月15日
Published Date 1952/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906996
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一酸化炭素中毒は日常家庭内で,しめ切つた部屋の中で炭火をたいていた時,又家庭用のガスが洩れていたのに氣の付かなかつた時,或は澤山の煙草を一度につゞけて吸つた場合等,日常可成り多くの機會にかう云つた危險に曝されております。又一酸化炭素を發生する工場作業場等ではしばしば一酸化炭素中毒患者の發生を見ますがそれは一酸化炭素そのものが無氣無臭の爲に知らない間にその大氣中に含まれておる一酸化炭素の濃度と吸收した時間等によつて種々の症状を呈して參ります。私共の病院は工場地帶にありますので各會社工場の高爐,コークス爐等より發生する一酸化炭素による中毒患者を度々看護する經驗を持ちますので御參考迄に述べたいと思います。
輕症と思われる患者ですが,主訴として頭痛,頭重,眩暈,嘔吐,惡感戰慄等がございますが,先ず空氣の清淨な部屋に衣服の緊縛を解き,絶對安靜に寝ませ,醫師の診察を受けさせます。頭痛のひどい時には頭部を冷し,時に氷枕を用いますが,發熱して來院する患者が餘りおりませんので氷枕,嘔氣嘔吐に對してこの胃部氷嚢貼用法は患者の氣分のよいよう適宜使用致します。往々惡感戰慄を伴いますので毛布,湯タンポ等の用意をし暖い飲料を與える事もよいと思います。
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