醫學のあゆみ・3
擴散因子とヒヤルロニダーゼ
杉
pp.49
発行日 1951年10月15日
Published Date 1951/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906948
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卵細胞のまわりには,粘液がとりまいていて,外からものが浸みこみにくくなつている。精子もその粘液にさえぎられて,そのままでは受精できない。このとき,粘液をとかして精子を卵に侵入できるようにするものがヒヤルロニダーゼ(hyaluronidase)なのである。
ヒヤルロニダーゼは,精子のなかに含まれていて,精子が壞われると,そのなかから出てくるのである。一つの卵が受精されるためには少くとも6000萬の精子のもつヒヤルロニダーゼが必要だといわれる。つまり,精液のなかに6000以下の精子しかない場合には,粘液をとかすことができず,受精がさまたげられ,不妊になるのである。從來,不妊症の原因は女性の側に專らあると考えられたが,ヒヤルロダーゼがわかつてから,男性側にも不妊の原因がかなり多くあることがわかつた。
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