勤務の反省
永遠に理想を,他
相澤 文子
pp.26-33
発行日 1950年12月15日
Published Date 1950/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906765
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
○月○日
朝8時半より2號室○○さん福外にて胸廓成形術の爲7時より麻藥をさし始める。昨夜の睡眠劑も利いてぐつすり寢めましたと仰言る。○○さんの顏はもうすつかり安心した,まかせきつたものと,覺悟を決めてしまつた落ちつきと,無心さがある。呼吸と脈膊を測つて一一メモに記入する。異常はない。リンゲル,輸血,カンフル等の用意,ガーゼ,繃帶等をそろえる。いよいよ8時半になつて外科へ行つた。靜かに手術室に入つて醫師に報告し,手術臺にうつす。「執刀」おごそかにひゞく聲,何回手術に立ち合つても私はこの言葉にすつと引きしめられる。只脈をみて容體を注意している丈なのに患者の痛みを全身に感じ,時々氣分が悪くなつて外に出る。手術場に働く看護婦の白いひきしまつた健康な顏がとても頼もしい。
Copyright © 1950, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.