発行日 1949年5月15日
Published Date 1949/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906470
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人間は社會的動物とも云はれる位で,眞に孤獨で暮すと云ふことは到底出來ません。何かの形で必ず他人と交際するか或は交渉する生活を續けなければならないのです。又他方には大抵の場合我々の周圍には何かの家畜が居つて,その肉を喰べたり,乳を飲んだり,或けその毛や皮を利用したり,或は家の番をさせたり,鼠を捕へさせたり,愛玩したりして一緒に暮して居る場合が多いのです。時としては人間が人間よりも寧ろ家畜動物と一層親しく暮して居る場合もあります。例へば羊飼,養牛,養豚などを職業として居る人々,或は猫婆さんなどと云はれて猫を澤山に飼つて一緒に住んで居る人,犬好きで何匹も犬を家に置いて暮して居る人などがあることも稀れでけありません。
病氣殊に傳染病は通常人間同志で互に傳染し合ふのが多いのです。ところが我々人間も家畜と共に暮し或はそれによつて生活して行くために家畜の病氣を人間が受けることがあります。近頃は公衆衞生と云ふことが非常にやかましく云はれて,人間が社會の一員として生活し,その健康を保持して行くことは,その人自身の幸福ばかりでなく,社會全體の福祉にも關係があると強く云はれて居ります。
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