発行日 1947年4月15日
Published Date 1947/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906191
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現今性教育の必要が大いに唱へられてゐる。これは新に必要となつたのではなく,戰爭に參加したすべての國々に明白に現はれてゐる社會變動のために一層深い注意が拂はれて來たのである。青少年犯罪率の増無が世界いたるところから報告されて來る。その大部分は性的犯罪である。此の事實はおのすと思慮ある社會の人々に,如何にしてこれを防止すべきか,何故その防止手段がとうに講ぜられてゐなかつたのかといふ疑問を起させた。此の態度は新なものではないが,不法,性病,家庭の破壞,及び犯罪の歴然たる證據によつて援助を求める叫びが一層高まつてゐるのである。こうした事實は確かに何らかの矯正の必要を表示するものである。
過去に於いて性教育に斷乎たる努力がなされなかつた理由の一半は性に對する社會の態度であつた。大概の集團で性は禁句とされてゐた。品位のある人々は誰しもそれを論じなかつた。無邪氣な子供ちに肉體や性について質問されると年長者たちはぎつくりした。性は品位のある婦人が享樂するものではなく寛恕するものであつた。かゝる態度は,確かに,子供らの疑問に答へる婦人たちの助けにもならず,成長した子供らに健全な性教育を與へる足しにもならなかつた。
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