研究と報告
インフォームド・コンセント用紙改善のプロセス—医療者が統一してかかわるために
足助 美往
1
,
松崎 佐希子
1
,
土屋 八千代
2
1社会福祉法人聖母病院
2山梨県立看護大学
pp.1168-1173
発行日 1999年12月1日
Published Date 1999/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905998
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はじめに
近年,国民の権利意識の向上にともないインフォームド・コンセント(以下ICと略)がクローズアップされている.ICの基本的な考え方は,1995年「インフォームド・コンセントの在り方に関する検討会」の報告によると,①医療従事者からの十分な説明と,②患者側の理解,納得,同意,選択である1).そしてICは,医療従事者と患者相互を結びつけ,ともに元気の出る「かすがい」として位置づけられているが,そこでは一貫してチーム医療としての医療従事者が語られている.つまり,ICは医療従事者と患者・家族相互で作り上げていくものなのである.
しかしながら,日本の「おまかせ主義」的な土壌もあり,「医療者は伝えたといい,患者・家族は聞いていないという」2)などの問題も生じている.また,チーム医療のなかにおける看護の立場からみると,医師が行なうICを補助することが看護婦の仕事の1つといわれるが3),医療現場でのICの実施には,医師の治療方針に大きく左右されること,およびその対象者である患者や家族の受容度や理解度も一様ではないことなどから,看護上さまざまな問題を生じている.たとえば,看護婦が知らないうちに患者への説明がなされたことを患者や家族からの報告で知ることも多い.このようなケースの場合,いつ・誰に・どのような内容が説明されたのか不明確なため,医療チームとして統一したケアの提供が困難となる.
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