特別記事
臨床試験における看護婦のかかわり(前編)臨床試験を理解する
新美 三由紀
1,2
,
国井 由生子
1
,
斎藤 裕子
3
,
福田 治彦
1,4
,
大橋 靖雄
3
1国立がんセンター研究所がん情報研究部JCOG統計センター
2筑波大学大学院医学研究科
3東京大学医学部健康科学・看護学科生物統計学講座
4国立がんセンター中央病院内科
pp.45-51
発行日 1998年1月1日
Published Date 1998/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905506
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
著者の1人である新美が臨床試験の専門看護婦であるリサーチナースを日本で初めて看護系雑誌1)で紹介してから2年になるが,本年の「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GoodClinical Practice:GCP)」(後述)の改訂を機に,さらに臨床試験への看護婦のかかわりが強く望まれるようになってきた.それは著者らのような臨床試験の専門の看護婦のみならず,臨床試験が行なわれる臨床の現場で,臨床試験を受ける患者を実際に看護するすべての看護婦が,この問題に決して無関心ではいられなくなってきていることを意味する.「医師の研究」とか「製薬企業の研究」と逃げていた時代は終わった.患者も医師も看護婦のかかわりを大いに期待している以上,看護婦も臨床試験を正しく理解し,何をしなくてはいけないかを考える時がきたのではないだろうか.
臨床試験に対する嫌悪感,あるいは無関心の最大の原因は無理解であろう.残念ながら現在でも,「なぜ臨床試験が必要なのか」「臨床試験とはいったい何なのか」「臨床試験は誰のためのものなのか」といった臨床試験の基本すら看護教育のカリキュラムにはほとんど含まれていない.したがって,臨床試験における看護婦のかかわりの議論に先立ち,本稿ではまず臨床試験を理解することを目的として,臨床試験の必要性や基本的な方法論について解説する.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.